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普段の鍵のお手入れでトラブル回避

鍵と錠前
2024.6.14

汚れは大敵!鍵のお手入れを実施しましょう

金属製で一見とても強そうに見える鍵は実は非常に精密で繊細なものです。
突然の故障で使えなくなるといった事態にならないように、鍵の取り扱いで注意したいこと、普段からできるお手入れについてご紹介します。

鍵がうまく入らない、回らなくなる原因

鍵がうまく入らない、回らなくなる原因

鍵は多くの場合、バッグやポケットなどに入れて持ち運ばれます。
細かい糸くずが付いた状態や、手垢やその他の汚れが鍵穴に持ち込まれることによって、鍵穴の中のシリンダー部分と鍵のギザギザとの接合部分に、不要な付着物が付き、鍵がうまく入らない、まわらない、さらに悪いケースでは鍵に傷を付けたり、破損してしまい、鍵が機能しなくなることがあります。

特にディンプルキーは形状的に窪みに汚れがたまりやすい傾向があります。
鍵と鍵穴の精密度合いも高いことからキーの汚れが鍵トラブルの大きな原因となりえます。

また出来の悪いスペアキーや、何らかの問題で歪み・曲がりができた鍵を使用し続けることで鍵穴を痛めてしまうケースもあります。精度の低いスペアキーは結果的に鍵の寿命を縮めかねないので、メーカー刻印が入った純正キーを使用することが一番です。

湿気が鍵トラブルの原因となる場合も

梅雨時など、湿度の高い季節は鍵穴にも湿気が溜まりやすくなっています。たまの雨天であれば、天気が良くなると空気が一気に乾燥しますが、梅雨の時期など毎日雨が続くこれからのシーズンは、湿度が高く、中々乾きにくい日が続きます。湿気は空気中のほこりなどが水分を吸収してこびりつき、鍵穴の詰まりの原因となります。

また強風を伴う雨や台風等の横殴りの雨は、鍵穴に水が浸入しやすく、さらにゴミやホコリ、土や砂等の汚れと異物を含んだ水分は、前述のような鍵トラブル発生に繋がることになります。

さらに、玄関ドアの鍵、勝手口の鍵など、屋外と接し、風雨に曝される鍵は、湿気による金属の酸化(いわゆる錆など)も鍵トラブルの原因となります。

錠前用の潤滑剤を使用する

錠前用の潤滑剤を使用する

鍵穴に油や市販の合成潤滑油(CRC、シリコンスプレー)などをさすことは絶対にしてはいけません。潤滑油の油がさらなるゴミやホコリを付着させ、事態をより一層悪化させてしまったり、故障の原因になります。必ず、錠前用の潤滑剤を使用するようにしましょう。

錠前潤滑剤は、対応できる錠前の種類が指定されている場合があります。使用する錠前の種類を確認して、用法・用量などに注意して正しく使うことが大切です。(写真は、美和ロック株式会社 錠前用潤滑剤)

鍵と鍵穴の清掃

誰にでもできる鍵のメンテナンスは、まず清掃です。普段使用している中でのトラブルでは、汚れが原因になることが多く、それ以上の故障や破損はプロに任せざるを得ないことが多くなります。つまりは、清掃ができれば大きなトラブルは避けられるので、清掃のしかたをマスターしましょう。



鍵穴のゴミやホコリを取り除く

パソコンのキーボード等に使用するエアダスター・ダストスプレー等を使用して、鍵穴に付着したゴミやホコリを取り除きます。掃除機を鍵穴につけ、左右にふって、中のゴミを吸い出してもOKです。

鍵穴のゴミやホコリを取り除く



カギ(キー)の汚れを取り除く

歯ブラシ等を使って、刻み部分や溝の汚れを掻き出すようにします。特にディンプルキーは、くぼみの底に汚れがたまりやすいため、定期的な清掃がおすすめです。

カギ(キー)の汚れを取り除く



錠前潤滑剤を使う場合

上とあわせて、錠前に合った潤滑剤を鍵穴に適量を吹き掛け、鍵を鍵穴に挿入して数回抜き差しをします。作業が終わったら、鍵に付着した潤滑剤は布等で拭き取ってしまってOKです。
※錠前潤滑剤によって、対応する錠前や用法・用量が異なる場合があります。ご使用前には、商品の取扱説明を確認するようにしましょう。

錠前潤滑剤を使う場合



(鉛筆でも代用することができます)

鍵のすべての刻み部分を鉛筆(先端の黒芯)でなぞるように黒く塗り、その鍵を鍵穴に挿入して数回抜き差しをすることで、鍵の抜き差しがスムーズになります。作業が終わったら、鍵に塗った黒芯の粉は布等で拭き取ってしまってOKです。

(鉛筆でも代用することができます)

鍵にも寿命がある

定期的にメンテナンスや清掃することはもちろん大切ですが、お使いの鍵が今どんな状態であるかを理解することも重要です。ここでは鍵の一般的な寿命を説明しましょう。

鍵自体は金属で出来ており、きちんとメンテナンスをしていたとしても、長年使用することで劣化や摩耗は避けられません。使い方次第で鍵自体が歪んだり、傷がつくこともあります。

他方、鍵穴のほう、錠前側こそメンテナンスは大変です。というのも鍵穴ばかりでなく、シリンダー部分も劣化や摩耗は避けられません。玄関ドアの鍵などは防犯上とても重要ですから、常に良い状態にしておきたいものです。

日本ロック工業会(JLMA)では、錠を適切に保守・点検することにより、安全上支障なく使用することができる標準的な期間として「建物(製品)引き渡し後あるいは購入後より、一般錠10年/電気錠7年」という耐用年数を制定しています。これらを目安に、定期的にメンテナンスし、耐用年数が近づいたり超えそうであれば、交換についてもご検討ください。耐用年数になるまで何もしないではなく、清掃などのメンテナンスは定期的に行うのが鍵を長く安心して使うコツです。

なお、これら錠の耐用年数とは、製品の基本性能を保守・点検により維持できる取り替えまでの目安の期間として日本ロック工業会が設定するもので、製品の保証(無償修理)期間とは異なるのでご注意ください。

鍵と錠前のトラブルはプロに任せる

鍵と錠前のトラブルはプロに任せる

たとえば鍵穴に何か異物を故意に入れられてしまった場合、鍵が歪んだり曲がったりした場合、清掃した上で潤滑油を使ったが改善しない場合など、不調を感じたら早めに鍵の専門店に点検・修理を依頼しましょう。

特に注意したいのは、長い間交換をしていなかったり、メンテナンスをしていない古い鍵の場合で、メンテナンス等を行う前に一度相談したほうがよいでしょう。鍵の状態を把握しないままご自身でやると、精密機械である鍵に大きな負担をかけてしまうため、事態を悪化させる可能性があります。

鍵は防犯上の大切な設備です。毎日を安心して過ごすためには小まめなメンテナンスや、鍵を日頃の摩耗や劣化から守るカバー付きのキーホルダーやキーケースなどを使用するといった対策も重要です。湿気が増えるこれからの季節は、とくにメンテナンスのおすすめ時期。もし不調などがある場合は、修理・交換なども視野に入れ、突然故障で使えなくなるといった最悪の事態に備えて、プロに相談するといった対策も必要です。

※「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。